消防・防災・ドクターヘリを紹介するコーナー

消防機関が保有するヘリや県などが保有する防災へり。病院が運用するドクターヘリなどのヘリコプターが現在日本の大空で活躍しています。

消防(救急も含む)活動において、ヘリコプターの運用は絶大的な効果をもたらすものであります。
消防組織法において、消防責任は市町村が負う事と規定されており、本来の消防活動や急病人搬送のためのヘリコプター整備も市町村によってなされるべきものでありますが、小規模な自治体には多大な財政負担となるため、都道府県がそれら市町村に代わり防災へりとして整備されています。
東京都のみ自治体運営である消防本部(東京消防庁)を自ら設置し、ここがヘリコプターを運用しているので防災ヘリは保有していません。政令指定都市の消防本部(札幌・仙台・千葉・川崎・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸・広島・北九州・福岡)では数多く運用されています。その一方で岡山市消防局では政令都市への移行を推進していますが、10年以上前からヘリの運用をしています。

 ・生命の危険が切迫しているか、そのような可能性がある患者。
 ・重症熱傷・多発外傷・四肢切断等の特殊救急疾患の患者。
 ・救急現場で緊急処置に医師を必要とする患者。
 ・長時間の搬送が予想される重症患者。
以上のような患者さんの基にドクターを連れて行き、即座に救命医療行為を行えるようにした
ドクターヘリは、現在全国
14ヶ所で実施されているが、全国的にみれば未だ一部の地域で実用化したに過ぎない。全国を広くカバーし、どの地域の住民も質の高いプレホスピタルケアを享受できるシステムの構築を考えた場合、消防・防災ヘリの有効活用は緊急の課題であります。渋滞が無く、最短距離で移動できるヘリコプターは一分一秒を争う、これからの消防・防災・医療活動に無くてはならない存在だと思います。          

ドクターヘリを紹介するコーナーはこちらから。

埼玉県危機管理防災部防災航空センター(防災航空隊)

あらかわ1   ユーロコプター式AS365N3型     平成18年度導入
あらかわ2   ユーロコプター式AS365N3型     平成13年度導入

埼玉県防災航空隊は県の防災ヘリを運行している部署で、比企郡川島町にある本田エアポートに配置されています。
主な任務は航空消防であり、消火・救助・救急活動を行います。活動隊員は隊長以下18名で構成され、県内の各消防本部より出向した消防隊員で構成されており、活動は各市町村を管轄する消防からの要請で出場するため、24時間体制で運行しています。(H19年末時点で24時間運行をしているのは埼玉県の他には東京消防庁航空隊仙台市消防航空隊川崎市消防航空隊、北海道防災航空隊、宮城県防災航空隊愛知県防災航空隊のみです)

活動部隊は1クルー3名で構成され、5クルーがローテーションで2機を担当します。運行と整備は民間航空会社に委託しており、パイロット12名、整備士17名は本田航空の職員です。
防災航空隊では、平成8年度より災害現場指揮車としてトヨタ・メガクルーザーを導入、平成17年度よりホンダMDXに更新して運用しています。ヘリの搭乗待機になっていない1クルーが上空のヘリを地上から支援するのです。特に山岳での遭難や大規模災害では、地上部隊との連携で活躍します。このような陸空の統合運用戦略を持っているのが埼玉県防災航空隊の特色といえます。
埼玉県防災航空隊が他の航空隊と最も異なるのは、ヘリ2機の同時運用を基本としていることです。このシステムのメリットは2機目を
ドクターヘリとして運用することで、これまで難しかった山岳地への医師の派遣を可能にし、要救助者が医療行為を受けるまでの時間が圧倒的に短縮されることです。

平成19年10月26日より、埼玉県内では埼玉医科大学総合医療センターにおいて
ドクターヘリの運行が開始されましたが、運行時間は制約がありますし、防災ヘリに医師を同乗させるにはヘリポートまでの移動時間が15~20分ほどかかり、県内の救助要請に大抵5分ほどで現場到着できることを考えるとこのロスは痛い。そこで1番機が救助員を乗せて離陸し、2番機はドクターを乗せて離陸する。先着した1番機の救助員がストレッチャーなどを背負って地上に降下。1番機は離脱して2番機を誘導する。この間に救助員は要救助者の吊り上げ救助の準備をする。そこにドクターの乗った2番機が到着し、ホイストにて吊り上げ救助を行う。地上では救助員がストレッチャーの回転防止のガイドロープを支持します。2番機に要救助者が収容されるとガイドロープは切り離され、ドクターにより即座に処置が行われ、病院ヘリポートに向かいます。地上に残された救助員はガイドロープを回収し、1番機にホイストでピックアップされ基地に帰投する仕組みです。それともうひとつ特長があり、防災航空隊としては日本初のナイトビジョンゴーグルの導入があります。これまではへりによる夜間捜索は赤外線カメラかサーチライトによる方法しかなかった。赤外線カメラには画角があり、撮影範囲はズーミングの幅のみで、サーチライトは非常に強力なライトではあるが、ピンポイントでしか、照射できないという欠点があった。そこで威力を発揮するのが夜間暗視装置のナイトビジョンゴーグル(NVG)である。パイロットを含めた総員が使用するにはコックピットの輝度を減光する改造が必要。埼玉県防災航空隊では、コパイロットと救助員のみNVG装着でい運航することで、安全性の確保をしている。

埼玉県は東京に隣接する県南部に過密した都市を持ちながら、一方で県北部に山岳地も抱えています。大都市特有の火災と、山岳地における遭難などに加え、道路網が複雑なこともあり、救急搬送の出動も多い。2機の運用でどこまで効率的に対応できるか今後の航空隊の活動に注目していきたいと思います。

 災害現場指揮車のボンネットに描かれた航空隊の部隊章とドアに描かれているステッカーと同じマーク。

埼玉県防災航空隊  災害現場指揮車      H17年度導入  (MDX)
  あらかわ1 あらかわ2
型式  ユーロコプター式AS365N3型  ユーロコプター式AS365N3型
登録番号  JA31TM  JA31KN
配備年月日  平成18年5月23日  平成13年4月1日
全長  13.68(m)  13.68(m)
全幅  11.94(m)  11.94(m)
全高  3.81(m)  3.81(m)
最大速度  324(km/h)  324(km/h)
巡航速度  269~279(km/h)  269~279(km/h)
航続時間  4.1~4.3(h)  4.1~4.3(h)
航続距離  827(km)  827(km)
燃料搭載量  1158(ℓ)  1158(ℓ)
座席数  13席(操縦席をのぞく)  13席(操縦席をのぞく)
標準装備重量  約2800(kg)  約2800(kg)
最大離陸重量  4300(kg)  4300(kg)
エンジン型式  ターボメカ アリエル 2C フリータービン×2  ターボメカ アリエル 2C フリータービン×2
出力  851(ps)×2  851(ps)×2
燃料  ジェットA-1 (第4類・第2石油類)  ジェットA-1 (第4類・第2石油類)
カーゴスリング装置  空中消火装置・資機材吊り上げ用(1600kg)  空中消火装置・資機材吊り上げ用(1600kg)
ホイスト装置  最大荷重(272kg)・ケーブル(90m)  最大荷重(272kg)・ケーブル(90m)
ラペリング装置  リペリングロープ取付リング 4個  リペリングロープ取付リング 4個
担架装置  高規格EMS装置  高度医療ベッド 担架2段 2名
機外拡声装置  ラウドスピーカー・広報用 800W  ラウドスピーカー・広報用 700W
空中消火装置  消火タンク(900ℓ)・消火バケット(530ℓ)  消火タンク(900ℓ)・消火バケット(530ℓ)
夜間照明装置  NIGHTSUNⅡ(1600W) (ヘリテレリンクシステム)  SX16(1600W)
ヘリテレ装置  防振機能付可視/赤外線カメラ装置
 (Ultra Media 8500)
 画像伝送装置
 ヘリコプター位置情報システム
 カラーカメラ防振装置(WESCAM 60cm)
 映像送信装置(PF702K)
 赤外線カメラ防振装置(WESCAM 40cm)
 カメラ制御装置(NC-840S)
 モニターテレビ(6インチ×4インチ)
 VTR装置(BR-S405)
GPS  航空用ナビゲーションシステム(国内用)  航空用ナビゲーションシステム(国内用
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